薬剤室室長原田 真知子はらだ まちこ
患者さんのご家族の顔も見える環境で、
直接患者さんと接する

<人の気持ちを汲む医療>という理念のもと、私たちは自分が入院したい病院を目標に看護業務に取り組んでいます。
療養型病院は医療と生活支援の両場面の看護が必要とされます。知識、技術、経験とともに大切にしているのが、患者さんが人らしく生きることへの支援です。
そのためには、やさしさと落ち着いた態度で、気配り、目配りができ、患者さんの気持ちを大切に考えることのできる看護師であってほしいと考えています。
病院は、それに伴う知識や人間性の向上のための研修には積極的に参加を勧めてくれます。
時代とともに変化することもありますが、看護師として患者、家族の思いを大切にするという気持ちは持ち続けていきたいです。
私が介護を志した理由、それはまだ20代、時代はバブル期、お洒落な車に乗り、綺麗なスーツに身を包み、営業成績も順調、毎日が楽しく、自由奔放な日々を送っていた頃にさかのぼります。
あるとき父と二人で岩手県の祖父を温泉旅行に連れて行ったのですが、温泉のあと部屋に向かっていると、廊下が点々と濡れていることに気が付きました。祖父が失禁しながら歩いていたのです。私はただ唖然とし、立ちすくんでおりました。すると父が何事もなかったように祖父を部屋まで連れていき、何も言わず床を拭きはじめたのです。その父の後ろ姿を見ながら、なぜこんな汚い事ができるのだろう?恥ずかしくないのか?自分には絶対にできない…と思いました。
その翌年、祖父は亡くなりました。
なぜあの時、自分は何もできなかったのか。悔しさで涙が止まりませんでした。
介護とは何か、人と人が支え合って生きるとは何か、か、尊厳を持ち合わせた介護技術と倫理性を学ぶため、私は介護福祉士を目指すことを決心しました。
あれから30年、介護を志したあの出来事は、今も決して忘れることはありません。
介護の仕事の中で不潔なものを処理する場面が多々ありますが、いかに感染予防対策のマニュアルに沿い、標準予防策を遂行できるかが重要です。またスタッフ全員が、それを共有し実行することで、はじめて環境が守られ、患者さんが守られ、自分たちを守るに事につながっていきます。
そして、声かけが私たちの要です。日々のコミュニケーションから生まれる信頼関係は、心地よいチームワークを生み、その気づきと優しさと感謝の真ん中に、患者さんとご家族の方々がおられることこそが、私たちの使命だと考えます。
介護という尊い領域の中に、私のような者を導いて下さった祖父と父へ感謝致します。
療養型病院は治療の場であると同時に生活の場でもあります。私共は看護師として、患者さんの生活を支え『その人らしく生きる』お手伝いが出来ればと思い日々業務に取り組んでおります。病院ですから自宅と全く同じようにとはいきませんが、可能な範囲で患者さんの生活の質が上げられるような関わりを持てるようスタッフ一同様々なケアを行っています。
私は10年前父を癌で亡くしました。ベッドサイドで家族を見守るつらさや苦しさも経験しました。当院は慢性期の病院ですから入院生活が長期に及ぶことも少なくありません。患者さんはもちろんの事、患者さんを支えるご家族の想いにも配慮し、少しでも明るく前向きな気持ちで入院生活が送れるよう援助させていただきます。
介護部が独立しているということが小原病院の大きな特徴です。
介護スタッフのことも『看護助手』『看護補助者』ではなく『介護士』と呼んでいます。
我々『介護士』の役割は、看護師のサポートという枠を超えた、より患者さんに寄り添ったプロフェッショナルなケアの提供と生活援助です。スタッフの多くは介護福祉士を取得しております。医療行為はできませんが、介護に関する専門的な知識と豊富な経験のもと患者さん一人一人と向き合い、患者さんの生活歴や趣味、嗜好などを理解し、患者さんにいま何が必要なのかを考えながら日々業務に取り組んでいます。
小原病院が掲げる『人の気持ちを汲む医療』とは、悲しんでいる人がいれば寄り添い、喜んでいる人がいれば一緒に楽しみ、苦しんでいる人がいれば手を差し伸べる、それが自然にできる医療のことだと思っております。
『患者さんのために』そんな思いを大切にしながら、医師や看護師、他業種のスタッフと共に心温かい小原病院を作っていくことが私の目標です。
患者さんのご家族の顔も見える環境で、
直接患者さんと接する
患者さん一人ひとりに寄り添った
「安全で、おいしくて、楽しい食事」
院内はもちろん院外施設との
連携・調整をはかる事も大きな役目